研究概要 |
1.flow cytomtry法によってT細胞のlymphokineであるγ-interferon(γ-IFN)はBALB/cマウス由来の角化細胞腫瘍株であるPAM212細胞の膜表面にMHC(主要組織適合複合体)classII(Ia)抗原を新たに発現させると共に, 天疱瘡(PV)抗原や類天疱瘡(BP)抗原の発現を著明に増強させることを明らかにした. またPAM212細胞の培養に高濃度のCa^<2+>や活性型vitamine D_3を添加することによっても, 同様にIa抗原の発現が誘導され, PV抗原やBP抗原の発現が増強されたが,どの組み合せによっても明らかな相乗効果はみられなかった. 従って, このようなγ-IFNの効果は細胞膜の情報伝達系であるCa^<2+>の上昇を介して作用していることが示唆された. またこれらの自己免疫性皮膚疾患では表皮にIa抗原陽性角化細胞やγ-IFNの局在が免疫組織学的に明らかにされ, しかもhelper型T細胞の免疫反応を強く抑制するcyclosporin Aがかなり有効なため, これら自己免疫性疾患の発症にはself IaプラスPVないしBP抗原と反応する自己反応性T細胞が重要な役割を果していることが考えられた. 2.マウスIa抗原の1つであるE^κ分子の発現を欠くBlo,A(4R)マウス由来のfibrosarcoma Sa1229株をハプテンで修飾し, これに対する腫瘍免疫のMHC支配を検討したところ, E分子の発現が腫瘍免疫に対して抑制的に働いていることが明らかにされた. 3.最近ようやくγ-IFN遺伝子をPAM212細胞にtransfectする実験が成功したため, この細胞を用いて, Ia, PV, BP抗原の発原に及ぼす効果のimmunoblot法による解析, in vitroにおけるアロ刺激活性や抗原提供活性, in vivoの発育に対する腫瘍免疫に及ぼす効果などの研究が現在進行中である. 4.ハプテン感作JY-1リンパ節細胞をハプテン結合表皮蛋白(Ep)とIL2で交互に長期間刺激培養したところ, 自己Epに対しても増殖反応が出現したため, 現在これをcloning中である.
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