研究概要 |
X線エネルギー10MVの直線加速装置4台,6MVを3台,4MVを3台計10台について加速器の周辺部及び治療室の迷路を径て防護扉の外側に至る漏洩光中性子線量を測定した。測定期にはニュークリアエンタプライズ社製NM2Bレムカウンタ及び長瀬ランダウア社製TS16N固体飛跡検出器を使用した。NM2Bは電子技術総合研究所に於て、【^(241)Am】/Be及び【^(252)Cf】中性子線源により校正した。指示値の精度は、いずれに対しても±5%の範囲内にあった。また、3MV,Van de Graaffを使用し、9Be【(d,n)^(10)】Be反応による中性子線をNM2B及びTS16Nに照射して、線量特性を求めた。前者は500mremまでの測定で、相関係数r=0.9965であり満足すべき直線関係が得られた。感度は、前者が1.2〜1.6倍高い値を示した。これはNM2Bが低エネルギー中性子に対しても感度を有することを示す。加速器からの中性子線の測定は、アイソセンタでのX線出力を3Gy/minに統一し、絞りは完全に閉じた状態にして行った。アイソセンタでの中性子線量率はレムカウンタ測定値で10,6,4MV加速器の順に4.3〜21.1,1.2〜1.4,0.8〜2mSυ/hであり、TS16N測定値では、10MVで2.4〜14,6MVで0.03mSυ/h,4MVでは零であった。 防護扉の外側の中性子線量率が医療法で定める線量限度の4mrem/hに近い値を示した一施設については、安全を期して迷路部分の改造工事を行った。 今回、新たな知見として、従来中性子測定の対象外とされていた6MV加速器からでも僅かではあるが中性子が観測されたことである。今後レムカウレタ測定値からパルス状X線を分高測定できる方法を確立し、エッチピット法では測定不能の50keV以下の低エネルギー中性子線の存在を明らかにする必要がある。直線加速器が急増している今日、中部地区にも中性子の標準測定器が設置できた意義は大きい。
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