研究概要 |
Computed radiography(CR)は世界で初めて開発された高精度デジタルX線システムであるが, このシステムの画像診断における有用性はまだ確立していない. 61年度では汎用画像処理システムを用いたCR画像のピクセル値解析用プログラムの開発とこれを用いてCRにおける最適の撮影, 収録, 処理法の検討を行った. 検出器のダイナミックレンジの広さはCRの大きな利点であるが, 従来の撮影法, 撮影条件では, 計測X線量のレンジは広くなく, この利点を十分に生かすことが出来ないこと, また現在の撮影条件を制限している大きな要素はX線管球(焦点の大きさ, 出力)であること, CRを有効に用いるための撮影系の全てにわたる再検討が必要なことが考えられた. 62年度ではCR画像データの定量的解析とPACSにおけるCRの有用性の検討を行った. CRではピクセル値を用いて解剖構造の定量的解析を行うことができる. CRにより得られた乳幼児の股関節X線像に対して先天性股関節脱臼の診断で用いられる臼葢角の自動計測を行った. 我々の開発したシステムではCRによりX線像をディジタルデータとして収集しミニコンを用いて短時間に必要な計測値を自動的に得ることができた. したがって, 低線量で撮影したS/N比の低い画像での計測が可能となり, 乳幼児へのX線被爆を低減することが期待された. CRはPACSにおいてその有用性を発揮すると考えられる. 画像ワークステーションにCRを表示し, CRT診断の可能性の検討を行った. 現在のCRTによる画像表示では, 日常行われているフィルムによる診断を全て置き換えることは問題がある. しかし, 応用分野を限り, 画像の観察にはフィルムと, CRTの両者が共存することのないような画像表示システム, 診断環境を作れば, 臨床使用に十分耐えるCRT診断システムが可能と考えられた.
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