研究概要 |
本研究はこれまで核医学的癌診断薬として繁用されてきた. ^<67>Ga-Citrsteに代りうる放射性医薬品の開発を目差し, レクチンの特異的糖鎖との結合を介した癌細胞との結合性に着目し, この放射性癌診断薬への応用のための基礎的検討を行った. 以下にその成果の概要を要約する. Ehrlich腹水癌細胞を用い, Invitroの系でこの細胞に結合性を示すレクチンをスクーニングすると, マンノース結合性レクチンであるConA,PSAおよびLCHに高い結合活性が観られた. Ehrlich固形癌担癌マウスでのこれらレクチンの生体内動態を検討するとPSAおよびLCHがこの癌部位へ顕著に集積した. 又, これらレクチンは^<67>Ga-Citrsteの生体内動態と比較し, いずれも血中からのクレアランスが極めて速く, 短時間内に明瞭な癌イメージが得られる点で^<67>Ga-Citrsteより優れていることが明らかとなった. より明瞭なイメージを得るための放射性医薬品とするためには上記レクチンを最適の核種で標識し, 生体内でより安定で, かつ生理活性を維持したものとする必要がある. そこで, Bifuctional chelating agent(DTPAおよびDFO)を用いレクチンを^<67>Gaで標識し, 標識率, 生理活性および担癌マウスでの生体内動態の変化を^<125>I-標識レクチンと比較検討した. この結果, PSAおよびLCHいずれもDFOを用いて^<67>Ga-標識することにより, 標識率, 生理活性および癌部位への累積率はいずれも^<125>I-標識レクチンより優れていた. 最後に^<67>Ga-Citrsteでは不可能であった癌と本症との鑑別診断を綿系を筋肉内に埋め込んで作成した実験的炎症とEhrlich固形癌を同時に持つマウスにて^<125>I-PSAで試みた. この結果, 放射活性は主として癌部位に検出され, 本レクチンを用いて両者の鑑別診断が可能であることが判明した. 以上の結果より, レクチンが核医学的癌診断のための優れた放射性医薬品になりうる可能性が示唆される.
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