研究分担者 |
新谷 茂樹 東北大学, 医学部付属病院, 医員
豊田 隆謙 東北大学, 医学部, 助教授 (40003628)
下瀬川 徹 東北大学, 医学部附属病院, 医員
清水 文雄 東北大学, 歯学部, 助手 (10162710)
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研究概要 |
Biological response modifiers(BRMs)の一種である連鎖球菌製剤(OK-432)がインスリン依存型(I型)糖尿病(IDDM)モデル動物のNODマウスの糖尿病発症を抑えるという発見から発展した本研究は, 以下に述べる2つのまとまった成果を遂げた. (1)OK-432はもう1つのIDDMモデル動物であるBBラット糖尿病発症も抑制する:未処置対照BBラットの30週齢までの累積糖尿病発症立は27.7%(13/47)であったが, OK-432(0.2mg, 週1回)投与群の発症率は7.4%(4/54)と有意に(P<0.01)低かった. OK-432投与群では膵島炎の程度は軽く, ラットインスリノーマRIN細胞に対する脾リンパ球の障害活性は低かった. しかし, 一般的免疫反応の指標としての脾リンパ球のLonA反応性や末梢血リンパ球サブセットには有意の変化はなかった. (2)NOKマウスを用いたOK-432の作用機序の解析;未処置雌NODマウスは25週齢までに約85%が糖尿病を発症する. しかし, 0.1mgのOK-432を4〜5週齢から週1回, 腹腔内または静脈内投与し続けると糖尿病発症は完全に抑制される. この抑制効果は, OK-432をNOKマウスの若い時期に投与したほど強く, 中止しても持続する. シクロホスファミド(CY)はNODマウスの糖尿病発症を促進させるが, OK-432, 長期投与マウスにはCYによる発症促進効果がない. 未処置NODマウスの脾細胞を照射マウスに移入すると, recipientは糖尿病を発症するが, OK-432投与マウスの脾細胞にはこの作用がない. OK-432投与マウスの脾細胞を若い未処置マウスやCY投与マウスに移入すると, recipientの糖尿病発症は抑制される. この抑制効果は抗Thy-1抗体と補体処理で解除される. OK-432長期投与によっても外来性抗原に対する免疫反応は抑制されていない. これにのことから, OK-432は抑制性T細胞を介して膵B細胞傷害性細胞の誘導を抑制し, 糖尿病発症を抑えたと考えられた.
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