研究概要 |
Adenylate cyclaseと並んで, 刺激伝達系として最近注目されているPhospholipase C(PLC)の活性調節にG蛋白が関与するか否かについて検討を加えた. コラーゲナーゼ消化法によって単離採集したラット・ラ氏島を用いて, in vitroの実験を行い以下の成績を得た. a:単離したラ氏島にGampertsらの方法によってCell-Permeabilizationを施した後, Carb 10μMを添加した. また, 同様の条件下に, PLC阻害物質, Neomycin(Neo)20μM, 100μM, 500μMを添加した. Carb添加によるインスリン分泌とPLC活性は, Neoの添加によって有意に抑制された. b:GTPの比水解性アナログであるGuanosine5-(3-0-thio)triphosphate(GTPrS)100μMをpermeabilized isletに負荷したところ, インスリン分泌とPLC活性は有意に増加した. c:Neoの添加は, GTPrS100μMによるインスリン分泌, PLC活性を抑制した. d:Permeabilizes isletに, GOPの比水解性アナログであるGDPBSを添加すると, Arg20mMによるインスリン分泌は明らかな抑制を受けた. また, α-KIC20mMによるインスリン分泌も同様にGDPBSによって抑制された. e:Neoの添加は, Argおよびα-KICによるインスリン分泌およびPLC活性をいずれも有意に抑制した. f:百日咳毒素の精製物であり, G蛋白(Gi)をADP-ribosyl化して不活化する. IAP(Islet-activating protein)でラ氏島を処理すると, Carb,Arg,α-KICによるインスリンはIAP処理により抑制された. 以上の研究成績は, Carbamylcholine,Arginine,α-KICによるインスリンには, PLCの活性化を伴うこと, このPLC活性化は, G蛋白による調節を受けることを示した. また, この際, PLCは百日咳毒素による不活化を受けることから, GiまたはGoによって制御される可能性があるものと推測される.
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