研究概要 |
4/6〜5/6腎切除により腎障害ラットを作製し以下の実験を行った. 実験I…腎障害ラットを腎障害の程度により, 軽度(R_1), 中等度(R_2), 重度(R_3)に分け, これに対照(C)を加えた4群で検討し, 以下の結論を得た. (1).R_2群の血清ガストリン値, 血清セクレチン値は, C群に比し有意に高値であった. (2).粘膜内PGE_2量は, 幽門部では, R_1, R_2, R_3群がC群に比し有意に低値であり, 胃体部, 十二指腸では, R_2, R_3群がC群に比し有意に低値であった. (3).胃粘膜障害の程度は, R_2群がC群に比し有意に高かった. 実験2…R_2群にPGE_2を投与した群(RP), ソルコセリルを投与した群(RS), 迷走神経幹切離術を施行した群(RV)を作製し, これにC, R_2群を加えた5群に水浸拘束ストレスを加えて検討し, 以下の結論を得た. (1).ストレス負荷後の胃体部PGE_2量は, C群が負荷前に比し有意に低値であったが, 他の4群は差がなかった. (2).ストレス負荷後の胃の潰瘍係数は, R_2群が最も高値であり, C, RP, RSの順に低値となり, RV群が最も低値であった. (3).胃液pHは, ストレス負荷前後ともにRV群が高値であったが, 他の4群間には差がなかった. (4).ストレス負荷後の胃粘膜障害の程度は, RP, RS, RV群ともにR_2群より低かった. (5).胃粘液量は, ストレス負荷前では, C群を除いた4群すべてがC群に比し有意に低値であった. ストレス負荷後では, RS群が, R_2, RP, RV群に比し有意に高値であった. 以上のことより 1.胃粘膜内PGE_2量は, 慢性腎障害時の胃粘膜障害に関与する一因子であると考えられた. 2.慢性腎障害時のストレス負荷後の胃粘膜障害に対して, 迷切, ソルコセリル, PGE_2負荷の順に予防的効果が認められた.
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