研究概要 |
薬物抵抗性および致死的不整脈に対し、手術療法、カテーテル電気焼灼法が試みられてきた。手術療法として心筋切開,心筋切除,冷凍凝固が上げられるが、臨床的に不整脈の発生部位が心内膜側に存在することが多く人工心肺を使用して直視下に行う必要があった。そこで、より手術侵襲の少ない冷凍凝固法として非直視下冷凍凝固法を動物実験で試み臨床応用の可能性と問題点につき検討した。(方法)1)冷凍プローベの開発:心内膜側からの冷凍が可能な様に工夫がされた。冠静脈洞用(左心型WPW症候群),T字形三尖弁用(右心型WPW症候群),His束用(房室結節リエントリー),心室用(心室性頻拍)などの特殊な形、カーブを有し、効果的な冷凍凝固を行うため先端以外は断熱材でカバーされている。しかも心内膜マッピング用の近接双極電極が先端に内蔵されている。2)冷凍凝固部位の決定:プローベでマッピングを行い、コンピューター処理を加え最早期興奮部位,His束記録部位,遅延電位記録部位より得られた情報にもとずき電気生理学的検査に冷凍部位を決定した。3)手術:冷凍プローベの捜入部位はWPW症候群、房室結節リエントリーでは右房より、心室性頻拍では右室起源であれば右房、左室起源であれば左房よりアプローチし房室弁を通して心室に到達した。冷凍は体表面心電図、プローベ先端からの電位をモニターしながら2〜3分間行い、効果が認められなければ、部位を移動して繰り返し行った。(結果)、今回の研究で以下の点が明らかとなった。1)各々の不整脈にあったプローベ、マッピング法、手術のアプローチを選択することにより非直視下冷凍凝固で十分な効果が得られることが判明した。2)冠静脈洞の冷凍凝固は損傷が多く危険であった。3)左室由来の心室性頻拍も心室切開なしに根治可能と思われた。
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