研究課題/領域番号 |
61570693
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉田 泰二 新大, 脳研究所, 助手 (70126465)
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研究分担者 |
小柳 清光 新潟大学, 脳研究所, 助手 (00134958)
生田 房弘 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20018592)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 中枢神経の組織発生 / 脳血管の発生 / 窓あき血管 / 実験的神経膠腫 / 腫瘍内血管 / 実験的脳梗塞 / 反応性血管 / 脳血管新生 |
研究概要 |
本研究は計画調書に基づき、1.脳血管の初期発生と中枢神経系組織発生との関連、2.実験的神経膠腫における腫瘍内血管の特徴、3.実験的脳梗塞における反応性脳血管の解析、の3項目についてラットを用いた実験系で検討を加えた。その結果、(1)神経溝から神経管が形成される時期では、脳血管は脳表に限局して存在し、マトリックス細胞層から神経細胞が形成されると同時に脳実質内に血管が出現すること、(2)ラットでは胎生11から16日までの発生早期には、窓あき血管が認められた。これらの所見は、中枢神経系の血管がその特異性を発現する以前の胎生早期には、他臓器の上皮性組織と基本的に同一の構造を有することを示しており、病的状態の脳血管を解析する上での基本的要点と考えられた。(3)実験的神経膠腫内の血管は、正常成熟動物の脳実質内血管とは明らかに異質的であるが、血管増生様式には胎生期に認められる脳血管の発生様式と各種の類同性が認められた。(4)実験的神経膠腫においても、血管の糸球体様構造が形成され、それは膠腫の組織型のみならず、膠腫形成後の経過時間にも関連しており、腫瘍内に壊死性変化を示す部位の周辺に認められた。(5)糸球体様構造を呈する血管内皮細胞の細胞動態は、腫瘍辺縁部に見られる小血管群に比し低値であった。これらは、腫瘍内血管が腫瘍特異的性格と考えるよりむしろ、脳血管新生から成熟へと向かう過程が腫瘍内環境により偏位した形態像とも考えられた。(6)実験的脳梗塞における反応性血管新生像にも胎生期における血管新生様式と類似の構造が観察され、(7)これら血管の新生と退縮には毛細血管のみならず静脈系が重要な役割を担っていた。こうした病的状態における病変内の血管には、超微構造の上からも窓あき血管がやはり形成されていた。以上から、今後、脳血管の生物学的特性を明らかにする上で、その発生学的性格を明確にさせる基礎的研究が不可欠と考えられた。
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