研究概要 |
Recombinant interleukin-2(rlL-2)により活性化されるlymphokine-activated killer(LAK)細胞を用いて, 初期治療に抗した脳腫瘍患者に養子免疫療法を行った. 対象患者と治療方法:患者は, medulloblastoma8例, gliobiastoma6例, astrocytoma(grade3)4例, metastatic brain tumors2例, pineal tomors2例, astrocytoma(grade2)1例, pontine tumor1例の24症例である. 患者や患者の両親の末梢血から, leukapheresesを繰り返して大量のリンパ球を採取し, 2%の非働化したヒトAB型血清と5単位/mlのrlL-2(武田薬品工業より供与)を添加したcomplete mediumで, 2×10^6/mlの細胞浮遊液を作製し, 37°C, 5%CO_2インキュベーター内で, 3-5日間培養してLAK細胞を得た. そして25-50単位のrlL-2と共に, 週2-3回Ommava reservoirより髄腔内(2×10^8個)か, 腫瘍腔内(3×10^9)に投与した. 治療結果:1)24症例中11例に有効であり, その平均寛解期間は, 9.6ヵ月であった. 2)悪性腫瘍細胞が脊髄腔に播種した12症例中7例で, 治療終了後腫瘍細胞が消失した. 3)長期生存例では, 治療終了後34ヵ月を経る現在も再発の兆候もなく, 元気に社会生活を送っている. 4)母親のリンパ球より誘導したLAK細胞を用いて治療した6歳のmedulloblastoma患者の場合, 約2ヵ月にわたる治療にて, 播種していた悪性腫瘍が消失し, その後21ヵ月間再発せずに元気に小学校生活を送っている. 5)副作用としては, 38°C前後の発熱や, 水頭症を併発する症例があった. 結論:LAK細胞を用いた養子免疫療法は, 原発巣を全摘できない脳腫瘍の局所療法として有用であり, 治療方法としてはまだ改善の余地があるが, 髄腔内播種病態に対して有効である可能性が示唆された.
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