研究概要 |
本研究の目的は、抗腫瘍化学療法剤の脳腫瘍細胞に対する殺細胞効果の機序を細胞蛋白(合成)、細胞骨骼の変化に視点をしぼり基礎的検討を行うにある。1.研究対象は我々のグループが以前より継続している脳腫瘍細胞に対する各種抗腫瘍剤(Lnf,PGを含む)の効果であり、これに今回の細胞蛋白の検討が加へられ現在進行中である。これまでの成果は手技、形態学的、細胞回転上の変化について文献(1,2,3,4,5.)に、また川上の本年度の論文(6〜7)に詳しい。またPGについては小田の学会発表(1,2)にまとめ本年度欧州脳神経外科学会(1987.9.スペイン)発表3)の予定である。とくにPGでは最終的にDNAの障害を来すが、作用初期にはDNAの変化は一定でなく形態学的変化と共に細胞質の変化が認められ、本研究の材料の追試でも同様であった。 2.本年度は上記の材料を用い(再試し)、先づGFAP,Vimentinをモノクロナール抗体を用い免疫組織学的染色(ABC法)による検討を行った。この詳細は本年度(1987)の脳神経外科学会、癌学会で発表予定である。VimentinはPhycaeryshin染色、GFAPはFITC染色で染色した。 3.抗腫瘍剤の効果は、各々の作用機序によりその発現は異るが、【FCM_(12)】よる細胞回転をみるとS期に作用し、この部の減少とG2TM期に集積を示すが、核の変化の前に細胞質の変化が認められGFAP,Vimentinの染色の乱れ、減少となって表れた。」4.杭カルモデュリン抜体を用いてのカルモデュリンの免疫組織学的検討によれば抗腫瘍剤投与後の脱腫瘍細胞の経時的観察においてカルモデュリン染色性は低下し細胞増殖能と平行していると思われる。 5.現在、Newofilament,Tubulas(マイクロ)に対する免疫電顕染色を検討中であるが、今後引き続き細胞蛋白,細胞骨骼の形態学的検討より抗腫瘍剤の作用機序を明らかにするが生化学的検討が必要。
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