研究分担者 |
谷代 弘三 新潟大学, 医学部付属病院, 医員
内山 政二 新潟大学, 医学部付属病院, 医員
高橋 栄明 新潟大学, 医学部, 助教授 (50018397)
YASHIRO Kozo Niigata University Medicine Hospital,resident
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研究概要 |
イヌ脊椎のラジオ波誘電加温を行ない, 脊椎・脊髄内温度分布の観察, および脊髄温度の上昇に伴なう脊髄誘発電位(SCEP)と組織像の変化から脊髄の許容温度の検討を行なった. SCEPは刺激, 記録とも硬膜外双極電極を用いた加温部をはさみ上行性電位とし, 組織像の観察は最終のSCEP測定直後に摘出した標本によって行なった. 1.胸椎または腰椎部の加温では, ラジオ波の加温効果は加温用電極の直径に影響され, 13〜15cmの厚さの被加温部に対して電極直径が10cmおよび15cmの場合, 背筋内が45°C以上となっても脊柱管内や椎体内は40〜42°C, またはそれ以下であったが, 直径20cmの場合, 脊髄内を含め脊椎部全体を温熱療法に必要とされる42〜43°Cに加温することができた. 2.硬膜外腔の温度は背側が腹側と同じか, 1〜2°C高く, 脊髄内温度はこの2点の温度の間にあった. この結果から, 髄外での温度モニターにより脊髄温度を推定し得ることがわかった. 3.目的温度に30分加温した時点でSCEPは44°Cまでの加温では潜時が短縮し振幅は不変であったが, 45°C以上では潜時短縮と振幅低下というこれまで報告のない所見が観察された. 加温を終了し脊髄温度が加温前に復帰した後, 45°Cまでの加温では潜時, 振幅とも完全に回復したが, 46°C以上の加温では振幅の回復が不完全となった. 脊髄組織像では, 44°Cまでの加温では破壊は認められなかったが, 45°Cの加温後は白質および灰白質に出血や空胞形成がみられた. これらの結果から, イヌ正常脊髄の許容温度は, 30分加温では41°C前後と推定された. ただし加温後の経時的観察が今後必要と思われる. 4.本研究から, 加温用電極の直径を大きくすれば, 脊椎・脊髄腫瘍にもラジオ波温熱療法が応用できる可能性があることが示唆された.
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