研究概要 |
下肢静脈瘤, あるいはバイパス手術の際に得られるヒト大伏在静脈を用いこの血管平滑筋の性質について研究したい. 1.ヒト大伏在静脈のラセン状切片による各種薬剤投与結果判明したこと. (1) Krebs液中で発生する自発性律動性収縮は, 内因性Prostag Lanain(以下PGs)E_2, F_<2α>によることが考えられる. 自発性収縮の性質は, 細胞外液のCa^<2+>に依存性であり, Isoprotereno(10^<-6>M), Atropine Saltatc(5×10^<-5>M), Phentolanine(10^<-5>M)には影響されず, Indomettacin, Vcrapaincl(10^<5+>M)及び, 外液のCa^<2+>を除去することにより張力を失った. (2) 電気刺激をすると, 収縮反応が認められるが(Phcntolamine(10^<-5>M), TTX(10^<-7>M)で抑制されることから, Norepinephrine放出によるものと考えられる. )前もってPGF_<2α>, PGE_2を投与しておくと, 神経刺激に対する反応は増大した. PGF_<2α>の方がPGE_2よりも, この増強作用を顕著に示した. 以上の新事実が判明したが, このことはPG_sと神経伝達物質との相互作用を強く示唆するものと考えられ, 管腔内外独立灌流実験結果との比較を急いだ. 2.管腔内外独立灌流実験結果, 容積1mlのチューブ内に大伏在静脈を, 管腔内外独立して灌流する装置を作製し, マイクロチューブポンプにて, 内・外それぞれ一定流量のKrebs液で灌流し, 各種薬剤を投与した時の血管収縮反応を, 血管内腔の圧変化でとらえた. その結果は, 特にPGsを投与した際, 内・外で差のあることを認めたが, その程度に関して, 再現性の点で問題があり, この原因として一定流量を得るため採用したマイクロチューブポンプより, バブリングしたO_2が拡散消失すること, PHの変化が生ずることが考えられ, 現在, 持続注入器を使用して追試, 再検している.
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