研究課題/領域番号 |
61570741
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
太田 吉夫 岡山大, 医学部, 講師 (30136006)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 筋弛緩薬 / ベクロニウム / 代謝物 / 神経筋伝達 / 競合拮抗 / 抗コリンエステラーゼ薬 / ネオスナグミン / リバース |
研究概要 |
Vecuronium bromide(以下、ベクロニウム)は、生理的pH7.4では比較的不安定で、一部は体内で代謝を受け、3脱アセチル体を経て、最終的には3.17脱アセチル体(ORG7402)を生ずると考えられている。この7402自身が弱い筋弛緩作用を持っていることはよく知られているが、本研究では7402とベクロニウムとの相互作用およびネオスチグミンによるリバースに与える影響について検討した。 その結果、7402はベクロニウムの筋弛緩作用に拮抗的に作用し、またネオスチグミンによるリバースの効果を低下させた。このために、7402の蓄積とともに同程度のブロックを作るのにより大量のベクロニウムが必要となり、またネオスチグミンによる筋収縮力の回復も悪くなると考えられる。また高濃度では、従来報告されているように7402自身筋弛緩作用を示す。このようなそれ自身が筋弛緩作用を持つ薬物による筋弛緩拮抗作用という一見逆説的な現象は、StephensonとGinsborgのいう弱い拮抗的阻害薬と強い拮抗的阻害薬の相互作用として説明できる。 一方、ベクロニウムの人の体内での代謝については、まだ限られたデータしか得られていないが、当初、Savageらによって予想されたほど多くはないらしい。したがって、ORG7402が筋弛緩作用を示すほど蓄積される可能性は少なく、むしろベクロニウムの筋弛緩作用に対して拮抗的に働いている可能性が強い。人におけるベクロニウムとその代謝物の体内動態、およびそれらの相互作用についてはさらに今後の検討が必要である。
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