研究概要 |
副腎髄質細胞の(1)ニコチン様アセチルコリン受容体に連結したイオン・チャンネル、(2)電位依存性Naチャンネル、(3)電位依存性Caチャンネル(雑誌論文1,2)に対する全身麻酔薬の影響を検討した。 1.(1)ケタミンは、カルバコールによるNa流入を、ヴェラトリジンによるNa流入よりも、強く抑制した(雑誌論文3)。(2)ドロペリドールは、後者のNa流入を前者のNa流入よりも、より低濃度で阻害した。(3)ハロセンは、前者のNa流入を抑制したが、後者のNa流入は抑制しなかった(雑誌論文4,5)。2.ケタミン、ドロペリドール、ハロセンは、カルバコール、ヴェラトリジンによるCa流入、カテコールアミン分泌に対して、Na流入と同じ効果を及ぼした。他方、高濃度カリウムによるCa流入、カテコールアミン分泌は、いづれの麻酔薬によっても阻害されなかった(雑誌論文3,4,5,6)。 3.以上の成績は、いづれの全身麻酔薬も、電位依存性Caチャンネルを直接阻害しないが、Na流入を抑制することにより、結果的にはCa流入、カテコールアミン分泌を低下させることを示している。また、ケタミン、ドロペリドール、ハロセンが、(1)受容体に連結したイオン・チャンネル、(2)電位依存性Naチャャンネルに対して、著しく異なる作用をもつことも明らかにされた。 4.Kチャンネルが、カルバコール、ヴェラトリジン、高濃度カリウムによって活性化されることを既に認めている(雑誌論文7)。Kチャンネルに対する麻酔薬の影響を、今後、さらに検討したい。 5.電位依存性Naチャンネルを、【^3H】-サキシトキシンを用いてラベルした(雑誌論文8)。【^3H】-サキシトキシン、【^3H】-バトラコトキシニンなどを用いて、麻酔薬のNaチャンネルにおける作用を、今後、さらに解析したい。
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