研究分担者 |
中本 富夫 信州大学, 医学部, 助手 (10135139)
全田 浩 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (60135150)
平林 直樹 信州大学, 医学部, 助手 (10143984)
仲間 三雄 信州大学, 医学部, 助手 (20155807)
和食 正久 信州大学, 医学部, 助手 (70175074)
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研究概要 |
シスプラチンの毒性を大環状ポリアミンの投与で軽減しうるか否かを4週令ラットを用いて実験した. シスプラチン10mg/kg(ラット致死量)を尾静脈から静注し, 引き続いて5種類の大環状ポリアミンを静注した. ラットは合計263匹使用した. 1)2, 2, 2-テトラミン四塩酸塩, サイクラム, ペンタミン, 2, 3, 2-テトラミンの4種は薬剤自身の毒性が強く, また少量投与ではシスプラチンの致死性を阻止できなかった. 2)ダイオキソサイクラムは228mg/kg(シスプラチン10mg/kgの30倍モル量)までの単独投与ではほとんど全てのラットが生存した. シスプラチンに引き続いてダイオキソサイクラムを投与したときは, その量が3倍モル量のときは24%, 6倍モル量のときは20%, 10倍モル量のときは36%, 30倍モル量のときは24%のラットが生存し, ダイオキソサイクラムにシスプラチンの毒性の軽減作用が認められた. 3)シスプラチンに引き続いてチオ硫酸ナトリウム200mg/kgとダイオキソサイクラムを投与したときは, ダイオキソサイクラムの量が6倍モル量では45%, 10倍モル量では67%のラットが生存した. 4)投与4日目までの尿中白金排泄量は, シスプラチン単独投与ラット, シスプラチンとダイオキソサイクラム投与ラット, シスプラチンとダイオキソサイクラムとチオ硫酸ナトリウム投与ラットの間に有意差はみられなかった. 以上の結果から, 大環状ポリアミンのうちダイオキソサイクラムがシスプラチンの毒性軽減に有効であり, さらにその効果はチオ硫酸ナトリウムの添加で増強することが示された.
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