研究課題/領域番号 |
61570762
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 稔 阪大, 医学部, 講師 (60093465)
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研究分担者 |
多田 安温 大阪大学, 医学部, 助手 (20163470)
中野 悦次 大阪大学, 医学部, 講師 (90116070)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 膀胱腫瘍 / 癌化学療法 / 抗癌剤膀胱内注入療法 |
研究概要 |
膀胱腫瘍に対する抗癌剤の膀胱内への注入の目的は、(1)表在性腫瘍に対する治療、(2)膀胱保存的手術施行後の腔内再発予防、の2つに分けられる。用いられた抗癌剤はマイトマイシンCが総注入回数の76%を占め、他にアドリアマイシンやテスパミンも用いられている。(1)又は(2)の目的をもって注入療法を受けた症例は昭和61年6月末までに235例存在した。比較の対照としては当科開設以来、同時期までに表在性腫瘍に対し経尿道的電気切除を受けるも、注入療法を全く併用しなかった193例を分析した。注入群は最初の抗癌剤注入を受けた時を起算日とし、注入後初回腔内再発までの期間と、61年6月時点での最終(最新)の再発までの期間を、実測生存率算出における死亡までの期間と同様の扱いにて実測非再発率を算出、100-実測非再発率をもって再発率とした。非注入群は初発腫瘍治療日をもって起算日とし同様に分析、また、初発腫瘍と最終腫瘍の病理学的悪性度についても変化を検討した。 非注入群の観察期間は6-167ケ月、平均77ケ月、注入群では4-132ケ月、平均62ケ月であった。非注入群の初回再発率は1年42%、2年54%、3年58%、5年62%、10年66%であり、注入群ではそれぞれ34%、42%、46%、51%、55%であり、3年目にかけては有意に再発を抑制したが5年〜10年では有意差はない。また最終腫瘍を対象とし、それぞれの期間における腫瘍発生率をみると、非注入群では1年11%、2年17%、3年24%、5年30%、10年32%、注入群ではそれぞれ13%、16%、26%、31%、33%と全期間を通じ有意差はみられなかった。病理学的悪性度も、最終腫瘍が初発腫瘍に比しより未分化となった割合は注入群14%、非注入群16%と有意差をみなかった。以上より、抗癌剤膀胱内注入は10年目までの期間で判断する限り、特に膀胱腫瘍の発生により促進的に働くものではないと結論した。
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