研究概要 |
1, 動物実験による脊髄誘発電位の起源について 陰茎背神経や四肢末梢神経刺激時に得られる脊髄誘発電位は, ヒトから得られるものとほぼ類似の波形を示し, P_1, N_1およびP_2波から成り立っていた. P_1波は電極を後根の表面におくともっとも著明となることより, 後根に流入する最初のスパイク電位であることが明らかとなった. N_1波は二重刺激に対する不応期を分析し, 脊髄内二次ニューロン, 介在ニューロンの興奮を表わすものと推定された. P_2波はモルフィンやケタミンで減少し, バルビタールで増大することから, 一次求心性線維末端に生ずる脱分極であり, presynaptic inhibitionを反映するものと考えられた. 2, 脊髄損傷動物は仙髄より上方で脊髄切断を施行すると, 全例とも膀胱・括約筋非協調運動(DSD)を示した. この場合, 脊髄誘発電位はP_2波が減少傾向を示し, 同時にDSD現象も記録されることから, DSDとは体性知覚反射のうちpresynaptic inhibitionが傷害された結果生ずるものと推定された.
|