研究分担者 |
荻野 敏弘 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10177157)
有馬 正明 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60028636)
森 義則 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80131598)
生駒 文彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70068419)
ARIMA Masaaki Assistent Professor,Urological dep.Hyogo College of Medicine
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研究概要 |
先天性尿路通過障害の実験モデルを作成するために, 家兎を用い胎仔手術を試み, 手術方式の確立および実験モデルの組織学的検索, ならびに尿路減圧術の試みを目的とした. 方法は, GOF+ケタミン麻酔下に交尾後22〜24日目の胎仔に, 上部尿路通過障害(尿管結紮)および下部尿路通過障害(尿道結紮, 尿道尿膜管結紮, あるいは膀胱頚部結紮)を作成した. 手術に際しては, 羊水損失を防止するために胎仔の部分露出法を用い, 保温と乾燥防止のため細心の注意を払った. 妊娠家兎27羽の胎仔52例に手術を加え, 目的とした尿路の拡張は全体の55%にみられた. 尿道尿膜管結紮群では膀胱の著明な拡張が12例にみられ, その内の4例では上部尿路の拡張を伴っていた. 手術による胎仔死亡は手術侵襲の大きい尿管結紮群と尿道尿膜管結紮群に多かった. 手術胎仔の体重は無処置群に比べ, すべて低下していた. 肺成熟の指標となる肺重量/体重比は尿道を結紮した胎仔で有意に低下していた. 胃の組織学的所見としては, 縫合糸を用いて尿管結紮群で集合管や尿細管の拡張がみられたのみならず, outer cartexの未納な糸球体に索胞が形成されていた. しかし, inner cortexの完成された糸球体には異常は認められなかった. 尿道尿膜管結紮群の内, 閉塞期間が7日におよんだ1例では, 近位尿細管が拡張し, 一部の糸球体Bowman腔の拡張がみられた. 高度に拡張した尿管壁では, 平滑筋細胞の軽度増加, 肥大と膠原線維の増生が認められた. 中等度に拡張した尿管では上記所見は明らかではなかった. なお, 尿道尿膜管結紮群では一部の胎仔に, 第1回の手術後3〜4日目に減圧術を試みたが, それらの胎仔はすべて死亡(浸軟仔)した.
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