研究概要 |
昭和61年度においては, 胎児・新生児仮死のSsis(血行の停止)は, 主として血小板第4因子, β-TGの増加や6Keto-PGF_<1α>の著減であることを報告した. 昭和62年度は, 母児の全血の血小板凝集能と血小板容積とを測定, これを中心に凝固亢進と新生児の頭蓋内出血・仮死について考察を加えたので報告したい. (方法)対象は50例の新生児の臍帯静脈血と母体血を用いた. (1)Whole-Bload Aggyegationmeterで透光度を測定し, optical channelにて全血凝集能を, インピーダンスchannelにてADPおよびCollagen凝集能を測定した. (2)血小板容積については, baker 810全血血小板数装置を用い, 血小板係数装置を用いて計測し, MPV(平均血小板容積)その他Mode(血小板分布の最頻値), Mean(血小板分布の中央値)などを測定した. (3)そのほかSEMC, フィブリノーゲン, FDPσ-σダイマーなども検索した. (成績)(1)在胎週数の推移をみるに, 25〜32週ではADP凝集平均12.6(e)Collagen凝集15.1(Ω)であるのに対して37〜40週においてはADP凝集14.1(Ω)Collagen凝集16.4(Ωと増加の傾向にあった. ただ仮死児においては, ADP凝集能10.1(Ω)Collagen凝集能8.2(Ω)と低下していた. (2)仮死児の血小板容積は, 正常の7.5cuに対し8.6cuと増加していた. (3)仮死児ではSFMC, FDPは増加した. 〔結論〕以上より仮死児のSlow circulationが示唆され, 血流の停滞により血小板容積は増大し, SFMCやFDPは増加することが証明された.
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