研究概要 |
漿液性卵巣癌患者の原発巣及び化学療法後に採取した腫瘍組織からl-Kubo,Kubo2細胞系を確立した. また同一のdonorから得たリンパ球をB95-8 Marmosotリンパ球上清のEBウイルスにより株化した. 株化後リンパ球のHLA型は球化前のHLA型と同一であった. この腫瘍細胞及び同一donorよりリンパ球株のpair細胞を用い, 免疫粘着反応(Immune Adherence法, 以下IA法)により, 腫瘍抗原の同定を行った. Target細胞としては上記の卵巣癌細胞を用い被検血清を株化リンパ球(Torget細胞と同じAllo抗原を有する)でHLA(Allo)抗体を吸収, 胎仔血清を用いた培養液よりTarget細胞膜に取りこまれるHeterologous Membrane Antigenに対する自然抗体を羊又は牛赤血球で吸収, 更に人胎児脳でOncofetal Amtigen-I(以下OFA-I)抗体を除去した. その後その被検血清をTarget細胞に対するIA反応性の有無より腫瘍抗原の検討を行った. このような連続抗体吸収法による, 12例の卵巣癌患者の173血清を検討した所l-Kubo株に2人の患者血清が反応した. またKubo株には4人の患者血清が反応した. このうち1例はl-Kubo株と反応した患者と同一人であった. その後, これらの血清を胎児脳で吸収を行った結果, すべての免疫反応性が消失した. 以上より, これらの卵巣癌患者の免疫反応性はOFA-Iに対する抗体による反応であることが明らかになった.
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