研究概要 |
〔目的〕本研究は, 神経内分泌の中枢である視床下部の組織培養法の確立とその培養組織を応用して神経内分泌の調節メカニズムの一端を明らかにしようとした. 〔実験室の整備〕61年度はシールドルームの設営と電気生理学的実験機器の整備を行い, ノマルスキー装置付位相差倒立顕微鏡を設置した. 62年度は, 培養液の改善のためにミリポア社逆浸透圧限外ろ過式精製水装置を導入して培養成績の改良を行った. 〔研究成績〕(1)組織培養法の確立:ウィスター系ラットの胎仔を帝王切開にて無菌的に取り出し, 胎仔の脳の視床下部を50〜100μmのスライス切片とし, maximow's chamber内でprimary cultureを行った. 培養液としてはGey's BSS,Eagle化液をベースとし, 馬血清, chick embryo, 10%TZを追加し95%O_2, 5%CO_2飽和して組織培養を行った. 61年度は東大医科研式蒸留装置を使用していたため蒸留水としてgradeが低かったため培養成功率は20〜30%であったが, 逆浸透圧限外ろ過式の精製水を使用するようになってからは40%台の成功率に改善でき, ほぼ技術的な改善ははかられたと考えている. (2)視床下部培養組織の応用:視床下部の視束前部の神経細胞を主体として電気生理学的研究を行ってきた. 7連の多連微少ガラス電極を作成し, 各種カテコールアミン, オピオイドをmicro-ionto-phoresis法により微量注入し, 神経細胞の活動を検索している. これらのデータはデータレコーダーに記録し現在解析を急いでいる最中であるが, エストロゲンを滴下した培養液中と滴下していない培養液とでは, カテコールアミン, オピオイドに対する神経細胞の興奮閾値が異なっていることが明らかにおきている. さらに現在プロゲステロン, テストステロンについて検索をすすめている.
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