研究概要 |
癌の治療において化学療法は極めて重要な位置を占めるが, たとえ同一の組織型の腫瘍においても, 個々の症例において薬剤感受性に差がみられ, それゆえ合理的な化学療法を行うに際しては個々の症例に即した抗がん剤の選択にせまられる. このような観点より本研究は臨床検体を用いflow cytometryによる癌細胞のcell cycleの解析, human tumor clonogenic assay(HTCA)による感受性試験の結果を総合的に検討し治療効果の予知を試みた. その結果, HTCAにより薬剤感受性試験を行うことが可能であった症例は24例でpredictive accuracy for sensitivityは100%, predivctive accuracy for resestanceは81.3%で感受性試験のoverall predictive accuracyは87.5%であった. また同一症例における原発巣および転移巣におけるコロニー形成阻止率を89検体について検討した結果相関は認められなかった. 一方, 同一症例における部位を異にする転移巣間におけるコロニー形成阻止率を51検体についてみると転移巣間には強い相関が認められた. HTCAで原発巣および転移巣で薬剤感受性が異った17症例の原発巣での核DNA histogramは17症例中14例(82.4%)で2つのDNAstem lineを認めた. 薬剤感受性試験においてS/Sであった8例中5例(62.5%)は1つのDNAstem lineを有していたが, R/Rであった10例中8例(80%)において2つのDNAstem lineを認めた. 臨床例における腫瘍細胞のDNA-BrdU同時測定を卵巣癌2例, 子宮体癌1例, 子宮頸癌2例の計5例で行ったが, Brduを取り込んだDNA合成を盛んに行っているfractionは測定細胞の1.91〜3.91%と少なかった.
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