研究概要 |
フローサイトメトリーを用いての悪性度の評価に関しては、DNA Index及び増殖指数をめやすとし、手術材料70標本を用いて検討を行った。その結果、増殖指数に関しては悪性度の強いものほどその指数が大きくなる傾向がみられたが、DNA Indexに関しては有意差が認められなかった。DNAIndexを検討するには、きれいなDNAヒストグラムを得る必要があり、そのために現在、なるべく純粋な腫瘍細胞を得るべく、密度勾配遠心法を用いて基礎的研究を行っている。又DNA Indexの検索にあたり、そのコントロールをどのようにすれば安定させることができるかが大切な問題で、この事に関する検討を行った。その結果、ヒト正常二倍体細胞を混じれば、比較的安定したデータが得られることが明らかとなり、今後この方法で検体を測定していくつもりである。現在の所、病理組織学的診断の方が、フローサイトメトリーによる診断よりまさっていると思われる。 薬剤感受性試験法の開発に関しては、株化細胞を用いて基礎的研究が終了しつつある。頭頸部領域で頻用されるシスプラチン,プレオマイシン,硫酸ペプロマイシン,フルオロウラシルについては有効濃度,作用機序の検索がほぼ終了した。とくにシスプラチン,硫酸ペプロマイシンについては2種類の蛍光色素(Propidium Iodide-Fluorescein isothiocyanate標識Bromodeoxy uridine)を使用して、細胞周期の合成期をさらに詳しく分析する新しい試みを行った。その結果シスプラチンは、合成期後半に特異的に効果を示し、又、硫酸ペプロマイシンは、分裂前休止期に特異的に効果があった。手術標本を用いての感受性試験は、約20標本試みているが、いまだに成功を見ていない。今後株化細胞とは異なった抗癌剤濃度判定日の変更等の試みを行う予定である。
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