研究概要 |
1.HSV-1再活性化の機序解明におけるin vitro experiment: 今回, 使用した糸では, エピネフリンがin vitroにおいてHSV-1の再活性化に影響を及ぼさないことが判明した. 今後, ウイルス株あるいはMDIを変えることによって, in vitroにおけるHSV-1再活性化の機序について解明する. 2.HSV-1再活性化の機序解明におけるin vivo experiment: 今回の研究では, HSV-1感染マウス三叉神経節を採取して, エピネフリンを添加することにより, ある一定の条件下(1μg/mlのエピネフリンを添加)でHSV-1が再活性化することが判明した. さらに, β-blockerによりそのHSV-1再活性化率は低下し, α-blockerにより, HSV-1再活性化率は変化がなかった. 以上の事から, 今回使用した糸において, HSV-1再活性化におけるβ-receptorの重要性が示唆された. 3.インターフェロンのHSV-1潜伏感染抑制効果: HSV-1急性感染期において, IFN-α/βの全身投与群は点眼群およびイオントフォレーシス群に比べて治療効果があった. HSV-1の神経節内潜伏感染抑制効果は上記3群の中でイオントフォレーシス群が最もよかった. 以上の結果からIFN-α/βをイオントフォレーシスによって高濃度に眼内移行させるとHSV-1の神経節内潜伏感染を抑制できる可能性が示唆された. 4.マウス角膜ヘルペスに対するワクチン投与の治療効果: マウス角膜ヘルペス動物モデルを用いてglycoproteinD(gD)は実質型病変に対し著明な抑制効果を示した. 神経節内潜伏感染率もgD免疫マウス群で有意に減少した. これらの結果はgDが角膜ヘルペス感染予防に応用できる可能性を示唆した. gD投与により細胞性免疫の誘導は認められず, 液性抗体を主体とする免疫機構が強く誘導された.
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