研究概要 |
体重約2.5kgのウサギの背部皮下に緑膿菌ワクチンを3回に分けて注射し, 素抗体法により十分免疫されていることを確認した. これらの免疫ウサギの角膜に線条の傷をつけ, 線膿菌を接種したところ角膜潰瘍の発症は抑制された. これらの角膜を菌接種後12時間, 24時間, 48時間後に摘出し, HE染色カルボールチオニン染色, 螢光抗体法間接法により検索した. その結果, 免疫群では時間の経過とともに角膜創部は治癒傾向を示し, また感染防御に関わる組織学的変化も軽微であった. 一方, いずれの時点においても菌を証明することはできなかった. 従って, 免疫群では菌接種後早期から菌の角膜組織への吸着が阻止されていることが十分考えられたので, 免疫ウサギに菌を接種後, 5分, 15分, 30分, 1時間後に角膜を摘出し, HE染色, カルボーチオニン染色, 螢光抗体法間接法, 走査型電子顕微鏡により検索した. その結果, これらの時点では, まだみるべき組織学的な反応はみられず, また, いずれの方法によっても, これら各時点で線膿菌が角膜創部へ密着していることがわかった. これらの菌は角膜実質内にはみられず, いずれも創部の表面に存在した. 以上より免疫群と非免疫群の明らかな臨床像の差異は, これらの実験からは, まだ十分証明できない. 菌接種後1時間から菌が全く照明されない12時間後の間に如何なる変化が起っているのか, 今後引き続き解明していかねばならない.
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