研究概要 |
〔1〕アミノ酸に対する味覚受容メカニズムー電気生理学的実験 A:鯉の顔面神経からの味応答記録実験-30種以上のアミノ酸の内12種のアミノ酸が味覚器に刺激効果をもち, さらに相互順応実験によりこれらの化合物に対する受容メカニズムは6群に分類された. 有効な12種の化合物の類似物や誘導体を使用して, アミノ酸の官能基が刺激効果にいかに係わっているのかを調べてみると一般にアミノ基と水素基は味応答を発現させるのに重要だがカルボキシル基はさほどではなく, またアミノ酸残基の大きさが刺激効果に影響を及ぼしていた. けれども使用した類似物等がそのまま親アミノ酸の受容サイトを刺激しているとは言い難く更に相互順応実験を行う必要がある. 詳細な味覚受容機構の解明には別の実験計画が必要と思われ, 既に単純な細胞系に味覚受容膜を発現させて解析を行う準備を進めてしる. B:ゴンズイの末梢味応答記録実験-同じくわずか7種のアミノ酸が有効でそれらは3群の受容機構に分類された. 鯉の結果と比較すると, アミノ酸味受容機構は種特異性が高いようである. 〔2〕顔面葉(延髄の第一次味覚核)における味応答の記録:記録された単一味神経ユニットは末梢での味応答スペクトラムと何等変りはなかった. niF(nucleus intermedius facialis)とよばれる顔面葉の深部核からの触・味応答は受容野も大きく極めて複雑であり, 短反射路であろうと推察された. 〔3〕HRPによる脳内第一次味覚の投射の解析:顔面葉・迷走葉は脊髄・橋部・間脳へと順行性・逆行性に複雑に投射しており, 特に前者では視葉との連絡があり摂餌行動との関連を示唆している.
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