研究概要 |
目的、腎臓においてGly-Pro-X(X:各種アミノ酸)型ペプチドの加水分解過程を糸球体、尿細管で検討し、上記ペプチドの再吸収と排泄について考察する。実験.1.腎臓皮質より糸球体、尿細管を調製する。2.Gly-Pro-Xペプチド、ならびに加水分解物の高速液体クロマト(HPLC)による同定、定量に必要な条件の設定。3.ペプチドの加水分解を経時的に検討する。 結果.1.糸球体、尿細管分画の調整はHelwingら(Urolog.Res.2(1974)55),Vinayら(Am,Physiol,Soc.(1951)F403)の方法に準じ、家兎腎皮質より、コラゲナーゼ処理、遠心分画.Percoll密度匂配分画法で得たが、酵素処理条件などで再現性が乏しく、混存物も多いため(写真参照)、尿細管のミクロビリ分画をBoothら(Biochern.J.142(1974)575)の方法に準じて調製し、実験に使用した。2.Gly-Pro-X型ペプチドならびに加水分解酵素により生成するペプチドの同定、定量はHPLCで行なった。溶出時間(tR)でペプチドの分離可能な溶媒組成を以下に示す。条件はカラム:Zorbax ODS,流量:1.0ml/min,カラム温度:50℃,同定:210nm。(1)2.0nM K【H^2】P【O^4】,pH2.1 Gly-Pro-Arg-Pro(tR=7.365),Gly-Pro(tR=2.183)(2)2.0mM K【H_2】P【O_4】,pH2.5 Gly-Pro-Arg(tR=3.115),Gly-Pro(tR=2.468)(3)100mM K【H_2】P【O_4】,pH2.5(1.0mMオクタンスルホン酸ナトリウム(OSNa)を含む)Gly-Pro-Ala(tR=6.433),Gly-Pro(tR=4.992)(4)100mM K【H_2】P【O_4】pH2.1(1.0mM OSNaを含む)15%/C【H_3】CN85%Gly-Pro-Hyp(tR=8.598),Pro-Hyp(tR=6.573)Gly-Pro(tR=5.867)。3.家兎腎のミクロビリ分画はGly-Pro-Arg-Pro,Gly-Pro-Arg,Gly-Pro-AlaをGly-Proと各アミノ酸に分解するが、Gly-Pro-Hypについては異なり、Gly-Proは生成せず、Pro-Hypが生成した。この結果は尿細管でジペプチジルペプチダーゼ【IV】とアミノペプチダーゼPによる加水分解を証明している。
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