研究概要 |
白血球の遊走能および活性酸素の産生能におよぼす抗生物質の影響を検討した。多形核白血球(PMNL)およびマクロファージ(MΦ)は、モルモットの腹腔内にグリコーゲンの生理食塩水溶液(1%)を注入し、それぞれ16時間後および4日後に腹腔内から採取した。PMNLおよびMΦの遊走試験はmulti-well chemotaxis chamberを用いたメンブランフィルター法で行い、PMNLの超酸化物イオン(【O(^~-2)】)産生能はチトクロームC還元法で測定した。 被験薬物としては、ペニシリンGカリウム(PCG),セフォタキシムナトリウム(CTX),硫酸ポリミキシン(PL),アンホテリシンB(AMPH),硫酸ストレプトマイシン(SM),塩酸オキシテトラサイクリン(OTC),塩酸ブレオマイシン(BLM)およびアクチノマイシンD(ACT-D)を用いた。それぞれの薬物は、実験時に白血球に直接作用させるとともに、白血球採取24時間前から6時間毎に4回モルモットの腹腔内に投与した。 白血球を抗生物質とともに前培養した場合には、作用時間が15分間ではすべての抗生物質に影響が認められなかった。30分間の前培養では【10^(-8)】Mから【10^(-6)】M濃度のPLおよびAMPHがMΦの遊走能を30〜50%抑制し、60分間の前培養ではOTC,PL,AMPH,ACT-DおよびBLMに遊走能の抑制作用が認められた。 抗生物質をin vivoで作用させた場合には、AMPH(1mg/kg投与)、BLM(0.5mg/kg)およびACT-D(20mg/kg)をそれぞれ投与して採取したPMNLは、無処理のPMNLと比較して、20〜40%の遊走能減弱が認められた。しかしながら【O(^-_2)】産生能は、SM(50mg/kg),AMPH,BLMおよびACT-Dを投与したPMNLで30〜60%増強した。なお、PCG,CTXのβ-ラクタム系抗生物質はすべての実験で、白血球の機能に対する影響が認められなかった。
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