研究概要 |
1.アミンの分析法の確立 高速液体クロマトグラフィーによるアミン類の微量でしかも短時間の分析法を確立した. その条件はカラム;日立GEL#3011C(4×250mm), カラム温度60°C, 移動相;0.4M燐酸-カリウム, 流速;0.5ml/minとした. プトレッシン, カダベリン, ヒスタミン, スペルミジン, スペルミンの順に溶出し, ピークはやや重なりあうものの, 定性, 定量には支障はなく, 約22分で分析が終了した. 検出限界は10pmolのオーダーであった. 2.歯周ポケット内のアミンの分析 歯周病の病態におけるポリアミンの関与を調べるため, 今回はその方法を確立することを目的とした. ポケット侵出液はペリオペーパー〓をポケット内に挿入して採取した. 液量はペリオトロン〓を用いて測定した. 0.1N塩酸でアミンを抽出し, 高速液体クロマトグラフィーで分析した. 重度の歯周病患者のポケット侵出液を分析した結果, プトレッシンとスペルミジンがそれぞれ13.4, 11.2nnsol/μl検出された. 全唾液ではカダベリンとスペルミジンがそれぞれ0.21, 0.08nmol/μl検出された. このように歯周ポケットは唾液とは異なったアミンの組成を示すこと, また唾液よりも高濃度のアミンを含有していた. このことは歯周ポケットと唾液中のポリアミンはその由来が異なることを示唆するものである. 方法が確立されたので, 今後さらに例数を増やして検討する予定である. 3.細菌によるアミンの産生 歯周病原性とされるFusobacterium nucleatum, Streptococcus mutans, Bacteroides gingivalisをPhytone, Veast, extract, Hemine, Merasionよりなる液体培地で嫌気培養し, 培養液中のアミンを分析した. 87hまで培養したが, アミンの産生はみられなかった.
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