研究課題/領域番号 |
61570928
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 博 大阪大学, 歯学部, 教授 (70036218)
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研究分担者 |
岡崎 正之 大阪大学, 歯学部, 講師 (30107073)
荘村 泰治 大阪大学, 歯学部, 助手 (10154692)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1987年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | インプラント / 溶射 / 形状記憶合金 / TiーNi / Ti / Ti系合金 / Ti-Ni |
研究概要 |
最近、歯科界では、各種の素材のインプラントが用いられているが、金属の場合は、耐食性が高いことが要求される。また生体との結合性を高めるため表面を多孔質にすることも有利である。本研究では、各種Ti系合金の耐食性を、本研究補助金により購入したアノード分極装置を用い、1%NaCl水容液中で調べた。その結果、Ti-6Alー4V合金や、形状記憶効果を歯科用インプラントに応用しているTiNi合金では、試料のエッジや断面、表面あらさのあらい平面部において耐食性が低下することがわかった。これは、従事のJIS規格によった単純平面での分極実験からは得られなかったことである。これを改善するため、予備分極処理を施した所、Tiー6Alー4V合金では、溶出電流が1/100程度に低下し充分効果が認められたが、TiNi合金では、その他酸化膜処理、PVD、CVDによるTiNi、TiCNの被膜など種々試みたが、いずれも形状記憶効果の時の大きな塑性変形には、充分耐えられず、500mV程度の低電位で孔食を発生し、生体為害性の指摘されているNiが溶出した。この結果から、TiNi合金は、耐食性の要求されるインプラントとしての使用には問題があると思われる。一方、溶射に関しては、Ti、Tiー6Alー4V,TiNi合金に対し、純Tiを減圧下で溶射し、被膜を形成させることができた。しかし、溶射したままでアノード分極を行うと、Tiの溶出が大きかった。現在このタイプのインプラントが市販されているが、溶射したままであれば、我々の結果からは、体内でTiの溶出がおこる可能性がある。しかし、これを950℃で1時間真空中で加熱すると、溶出量が、純Ti金属とあまり変らなくなり、更に被膜と母材の密着性が非常に向上し、かつ表面の多孔質性は損われないことがわかった。このように、より安全なTi溶射インプラントが開発できた。今後は、生体不活性なアルミナインプラントに、アパタイトの溶射等を試みる予定である。
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