研究概要 |
昭和61年度に無作為抽出した全国の歯科診療所, 一般病院歯科, 歯科大学および歯学部を対象として, 昭和62年度に歯科X線撮影の頻度および撮影条件についての実体調査を実施し, さらに国民線量およびリスクの推定を行なった. 結果は以下の如くであった. 1.昭和62年度の全国調査では口内法撮影枚数は約9100万枚, パノラマ撮影枚数は約1140万枚であった. 2.調査した殆どすべての歯科施設では60kV, 10mAの定格の歯科X線撮影装置が使用されていた. 3.口内法撮影により国民線量は, 国民1人あたり年間, GSDが98nGy(98μrad), CMDが8.5μGy(0.85mrad), LSDが7.5μGy(0.75mrad), およびMSDが7.1μGy(0.71mrad)であった. 4.おなじくパノラマ撮影による国民線量は, 国民1人あたり年間, GSDが6.4nGy(0.64μrad), CMDが2.3μGy(0.23mrad), LSDが2.1μGy(0.21mμrad), MSDが1.3μGy(0.13mrad)であった. 5.歯科撮影による集団実効線量当量は2370人・Svであった. 6.歯科撮影による国民全体へのリスクは, 遺伝的影響0.17人, 白血病2.3人, がん16.7人と推定された.
|