研究概要 |
腫瘍の増殖を免疫学的な方法でコントロールしようとする試みは比較的古くからあるが, そのうちのひとつの方法としてmacrophageを含めた活性化リンパ球の担癌個体への移入法があり, それは何よりも抗原性を示さない自己の細胞を繰り返し移入できるという利点を有する. 現在, 抗腫瘍効果を有するリンパ系細胞はNK(natural killer)細胞, LAK(lymphokine activated killer)細胞, cytotoxic T細胞などとして知られているが, 今回の研究では, これら抗腫瘍活性を持つ細胞の癌患者への応用, すなわち輸注は行い得なかったが, マウス脾細胞, および肝臓内リンパ系細胞を用いてのin vitroの実験においてIL-2によるNK細胞, ならびにLAK細胞の誘導, およびOK-432によるNK細胞の誘導を行い, 検討を加えた, 抗腫瘍活性の評価は標的細胞としてYAC-1細胞, P-815細胞をそれぞれ, NK活性, LAK活性の評価として用いた. ただし研究計画書に記載したマウスのメチルコラントレン誘発顎下腺癌は免疫学的性状が一定しないため, 今回の実験ではこれに関する検討は行なかった. 1.in vitroでIL-2により誘導されたマウス脾細胞のNK活性による殺細胞効果は培養4日がもっとも高く, E/T比50:1で97.6%, 20:1で94.6%を示した. LAK活性による殺細胞効果も培養4日に最も高い値を示し, それぞれ48.6%, 42.3%であった. 2.OK-432をマウスに投与し, 36時間後その脾細胞を用いてNK活性による殺細胞効果を検討したところ, E/T比25:1で16.5%, 50:1で27.4%, 100:1で41.8%であった. 同様の条件で肝臓内のNK細胞について検索したところ, その活性はE/T比25:1で55.9%, 50:1で63.1%, 100:1で65.2%であった. 3.IL-2で刺激したマウス脾細胞表面に表現された2種類の異った抗原をThy1.2, L3T4, Lyt2, 2C11, GA1, Kg16, IL-2Rモノクロナル抗体を用いて捉え免疫細胞材能集団の経時的変化を検索したところ興味ある知見が得られた.
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