研究概要 |
乳歯列における齲蝕診査の方法と妥当な検診間隔について調べるために 3ヵ月間隔の視診型歯科検診に透視診査を併用する方法で行った. 対象と方法:昭和61年度仙台市内保育園児の0〜5歳の1046名について, 3ヵ月間隔で計5回の視診型と透視診査を併用する歯科検診を実施した. 対象児を台上に仰臥させ, air syriuglによる歯面乾燥, 平面歯鏡と先端を規格化した営利な錬型探針Welstone No.9並びに線維光学照明装置に光束力の高い手術創用端子を装着し, 上下顎の第一乳臼歯遠心面と第二乳臼歯近心面を透視して 齲蝕の有無を判定した. 結果:1.本対象における3ヵ月間の平均齲蝕増量は1歳児で0.20歯であり, 3歳児では0.61歯と多かった. 個人別の齲蝕増量について, 各3ヵ月間隔のいずれかにおいて3歯以上の増加を示した幼児数は延165名であった. なお3歳児では.6名と多かった. 2.透視診査の対象である乳臼歯隣接面において, 初回から3回目の診査時には健全歯面(S)または透視診査のみで齲蝕を検出された歯面(Dt)であったものがその後3ヵ月乃至6ヵ月に臨床的高度齲蝕に進行した歯面数を調べた. (1)視診と透視診査によって齲蝕無しの歯面(S)で突然高度齲蝕として出現した例はS→S→Chの5例とS→Ch→Chの4例である. この9歯の経月推移をみると, 咬合面に存在していた高度齲蝕の拡大や不良修復物の脱落によるものであった. (2)透視診査の併用により突然高度齲蝕(Ch)の出現を防止できた例数はDt→Dt→Chの26例とS→Dt→Chの8例とDt→Ch→ChorFの7例であった. また, 38例については3ヵ月間隔の視診により初期段階で検出できた. 従って, 3ヵ月間隔で視診と透視診査を併用する歯科検診は齲蝕感受性の高い幼児期に必要であり, 本法によって看過されやすい乳臼歯隣接面齲蝕の大半は比較的初期段階で検出できると考えた. 本提案は幼児における歯科疾患管理に充分利用できる方法と思っている.
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