研究概要 |
早期離乳, S.mubans接種, う蝕誘発生飼料の投与などの好う蝕発生条件下で飼育したラットを用いフッ化チタンアンモニウム溶液塗布によるう蝕抑制効果を検索するためAPF溶液塗布, 精製水塗布の場合と比較検討を行った結果, 次の成績が得られた. 1.フッ化チタンアンモニウム塗布はAPF塗布に比べう蝕発生予防効果がみられた. 2.フッ化チタンアンモニウム塗布;APF塗布ともにう蝕は発生しても重症う蝕の占める割合が低く, う蝕進行抑制効果が認められた. 3.ラット臼歯の元素分布をX線マイクロアナライザ分析により検索したところ, フッ化チタンアンモニウム塗布では表層約30μmまでフッ素, チタンが, APF塗布ではフッ素が取り込まれた. 4.各溶液塗布後のラットエナメル表面を走査電子顕微鏡により観察を行ったところ, フッ化チタンアンモニウム塗布では平坦で凹凸のない像が, APF塗布では表面に沈着物が認められた. 5.実験期間中のラットの体重増加の様子は, 各溶液塗布とも一様であり, 薬液塗布による影響は認められなかった. 以上のことからフッ化チタンアンモニウム溶液はラットう蝕系でAPF溶液と同程度のう蝕抑制効果をもたらすことが認められ, 既に報告してきたInvitroの成績と合わせて臨床応用への可能性が示唆された.
|