研究概要 |
植物起源由来の抗腫瘍活性物質は, これまでに天然より数多く単離され, 構造決定されているが, それらの中でも高度に酸素化されたセスキテルペン類が存在する. 我々研究グループではこれまでにこれら一群に属するバーノレピン及びベルノメニンの合成化学的研究を行い, 究極化合物の合成を達成した. 本一般研究では更にこれらの研究成果に基づいて, 天然にも稀な1, 10-セコオイデスマノライドセスキテルペンであるエリオラシン(1)及びエリオランジン(2)の全合成を企画し昭和61年度から2年間に亘りその研究を行った. 合成法としては, 安価に入手可能なシスシクロヘキセンジカルボン酸無水物を出発原料に用いて2つの合成経路で検討した. その結果シクロプロハネーションによるα-ラクン生成よりもアリールアルコール誘導体を用いたジクロロケテン付加反応, 続く環拡大反応の方が効果的であることが判明した. 又, エリオラニンに存在するアシクロヘキサン環状の連続した3つの不斉炭素と側鎖アリル位上に存在するもう1つのメチル基の導入反応も高選択的に進行することを見い出しここにエリオラニン及びエリオランジンの合成を達成することが出来た.
|