研究概要 |
[1]カルバゾマイシンB(I)の生合成. カルバゾ-ル骨格を有する最初の抗生物質として放線菌Streptoverticillium ehimenseの培養液から得られたIの生合成研究を,^<14>C標識前駆体の投与と放射能測定,および^<13>C標識前駆体の投与と^<13>C NMRの測定により行った。その結果,これまでに炭素起原が未定のCー2,Cー11へはピルビン酸(アラニン)のCー2,Cー3が導入され,またこのC2ーユニットは(おそらくアセチルCoAを経由して)Cー1,Cー10へも導入される事が判明した。これによりIのすべての炭素起原がFig.1.のように解明された。 [2]カルバゾマイシン類縁体の単離と構造解析. Iの生合成研究の途上,[3ー^<14>C]Trpが高率でIに導入される事が判明したので,[3ー^<14>C]Trpを投与して得た培養液をスポットしたTLCのオ-トラジオグラフィ-で高い放射活性を示す物質の精製を行い,カルバゾマイシンC(III),D(IV),E(V),F(VI),G(VII)およびH(VIII)を単離した。さらにそれらの構造を^1Hーおよび^<13>CーNMR,化学反応およびX線結晶構造解析によりFig.2およびFig.3.のように決定した。これらの抗生物質は数種の植物病原性カビ類に対し成長阻害活性を示した。
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