研究概要 |
葛花Puerariae Flos は中国において胃を醒し, 渇を止め, 酒毒を解す薬物として著名であり, 漢方においては葛花解醒湯などが知られる. そこで本生薬の有効成分模索を目的に成分研究に着手し, イソフラボノイド(PF-IF), トリテルペノイドサポニン(PF-SP)ならびにトリプトファン誘導体(PF-P)を得, 構造決定した. PF-IFとして12kakkalideが圧倒的に多く含まれることが判明した. PF-SPとしてはPFS-aへC´の三種の〓〓体が得られたが, それらの構造はそれぞれsoyasapogeinol B^3-glocuronic scid^2-gal^2-rha, sophoradiel^3-glcUA^2-gal^2-rha およびsophoradiel^3-glc・UA^2-ara^2-rhaである事を明らかにした. 又PF-Pはthyptophan, caproic acid, glucose 各1モルから成る化合物である事を明らかにした. 次にこれらの化合物の薬理作用についてであるが, アルコール投与時における諸作用に関し, PF-Pは血糖上昇の抑制作用, PF-IFは血中エタノール, アセトアルテ・ヒド値の減少効果及びBUN値の抑制効果が認められ, さらにPF-SPにはTG, BUN値の抑制効果が認められた. また, 肝障害病態に関し, 高脂肪食モデルではPF-SP, PF-IF両者が, 血塩化炭素モデルではPF-SPのみが抑制効果を示した. 消酒効果の要因である脂質, 窒素, 糖質代謝さらにこの種の機能を司る肝機能に対する改善作用が葛花抽出物に認められたことは, 漢方薬における葛花の用いられ方を説明しうるものと考えられる.
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