研究概要 |
前年度で, Si-C-N結合を有する4級アンモニウム塩にフッ化セシウムをHNPA中室温, 約20時間反応させるとケイ素-炭素結合が切断されアンモニウムイリドが生成する. そのイリドアニオンはケイ素基の結合していた炭素上に位置特異的に生成するので転位生成物が好収率で得られること. 更に強塩基感受性置換基を有する化合物にも適用できる事を明らかにした. 今年度は, このイリド生成反応を環状アミンの合成に利用する目的で, 1-methyl-1-(trimethylsilyl)methyl-2-(substituted phenyl)piperidlnium iodldeとCsFとの反応を行い9員環アミン2-methyl-1,2,3,4,5,6,lla-hexa-bydro-2H-2-benzazonineを好収率で得た. この化合物は従来イリドがSom-melel-Hauser転位体2-methyl-2,3,4,5,6,,7-hexahydro-1H-2-benzazonineへ異性化する際に経由する非芳香族構造の不安定中間体とされてきた化合物であるが, 中性条件下では安定な化合物で塩基の存在で初めてSommelet-Hauser転位体に異性化する. そして, 他の合成中間原料として利用できる. 例えば, dlmethyl acetylendicarboxylateと反応してDiels-Alder反応を起こす等, 有機合成上有用な化合物で有ることを明らかにした. 同様に, 1-methyl-1-(trimethylsilyl)methyl-2-phenylpyrrolidinium iodieからはSommelet-Hauser転位への8員環非芳香族中間体が好収率で得られた.
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