研究概要 |
(1)新規に異反応性二価架橋試薬N-(Bromoacetamido-n-alkanoyloxy)succinlmide類(5種のスペーサー長さの異なる同族体)のうちN-(bromoacetamidopropionoyloxy)succinimide(BAPS)を用いてインスリンB鎖29番目のリジンのε-アミノ基を介して酵素ペルオキシダーゼ(HRP)を標識し, HRP標識インスリン(HRP-Ins)を調製する方法を開発した. 即ち, GlyAl及びPheB1のフリーアミノ基をシトラコニル基で保護した後, BAPSによりLysB29ε-アミノ基にBAP基を導入する. DEAEイオン交換HPLCにより分離精製後, 脱保護し, ゲル浸透HPLCによりHRP-Ins(1:1)を得た. (2)HRPとインスリンの架橋を架橋試薬N-Succinimidyl-3-(2-pyridyldithio)propionateを用いて検討し, GlyAlかLysB29の一方または両方にHRPを標識したインスリンを各々, 高純度で調製する方法を開発した. これはインスリンに直接1.の様なアミノ基保護をせずにpyridyldithiopropionoyl(PDP)基を導入し, 生成する種々のPDP-インスリンをHPLCにより分離後1.と同様にSH基導入HRPとコンジュゲートを作成する方法である. 5種のPDP-インスリンと3種のHRP-Insを調製し得た. (3)1.で調製したHRP-Insを用いてRat肝細胞膜インスリンレセプターのインスリン結合能を測定する方法を開発した. さらに, ホスホリパーゼC(PL-C)により活性価させたRat肝細胞膜インスリンレセプターを用いてインスリンを測定する方法を開発した. その概要を以下に記す:肝細胞膜溶液80μlにPL-C溶液(300ng/ml)20μlを加え, 23°C, 90min放置後, HRP-インスリン溶液(1125ng/ml)100μlを加え, 10°C, 90minインキュベートする. これをメンブレンフィルター(ミリポアEGWP, 13mm径)に3取し, 洗浄後, フィルター上のHRP活性を蛍光法により測定する. 本法により2-600ngのインスリンの測定が可能となった.
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