研究概要 |
高速液体クロマトグラフィーで分離したルミノール誘導体に, 2台の試薬送液ポンプで, ミクロペルオキシダーゼおよび過酸化水素を順次混合することにより化学発光を開始させ, フローセル内でこの発光を検出する装置を組んだ. この装置により試薬流速0.5ml/min, 0.2μMミクロペルオキシターゼ0.5ml/min, 9.0mM過酸化水素1.0ml/minで, pH8.6の条件を用いた場合, イソルミノールで1〜500fmolまで検量線は直線性を示し, ルミノールで100amolという検出限界が得られた. またピークの再現性は105molで1.10%と良好であった. 化学発光標識剤としてN-(4-アミノブチル)-N-エチルイソルミノール(ABFI)を用い, 試料としてエイコサペンタエン酸(EPA)を用いて標識化条件の検討を行なった. 縮合試薬はヨウ化-2-クロロー1-メチルピソジニウムおよび3.4-ジヒドロー2H-ピリド〔1, 2-a〕ピリジンー2-オンを用い, アセトニトリル中90°C30分の反応で充分な標識化が行われた. 試料はメタノール溶液とし, HPLCで分析した. HPLCの条件として逆相分配クロマトグラフィーで, 75%メタノールーリン酸緩衝液(pH6.5)を移動相としたとき, 未反応のABFI, および各脂肪酸は, 良好な分離を示し, この条件で鎖長C_<14>〜_<20>の飽和および不飽和脂肪酸の分析が可能であった. また再現性も良好であった. 生体試料への応用として, ヒト血清中のEPAの定量を行なった. クロロホルムーメタノール(1:1)の抽出で, 内標準物質としてマルガリン酸を用いて試料調製を行ない, EPAの定量値0.5nmol/mlを得た. また血清中の主要な脂肪酸11種のピークを妨害もなく確認した. またEPAの添加回収率も良好であった. プロスタグランジン類も同様に検討を行ない, HPLCの分離条件はリン酸緩衝液(pH6.0)で40%から90%までのメタノールグラジェントを用い, また標識化温度50°Cを用いた場合, プロスタグランジンF_<2α>, プロスタグランジンB_2について定量の可能性を確認した.
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