研究課題/領域番号 |
61571039
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
小沢 俊彦 放射線医総研, その他, 研究員 (40160858)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | スーパーオキシド / 【O^-_2】 / ヘムモデル化合物 / テトラフェニルポルフィリン / TPP / Cr(【III】)TPP・Cl / Cr(【IV】)(TPP)(Cl)(【O^-_2】). |
研究概要 |
スーパーオキシド(【O^-_2】)溶液はK【O_2】をクラウンエーテルを用いジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化して得た。ヘムモデル化合物としてCr(【III】)TPP-Cl(TPP:テトラフェニルポルフィリン)を合成し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。電子スピン共鳴(ESR)は日本電子JEOL-PE-1X型分光器で、また酸化還元電位は科研費により購入したサイクリックボルタンメトリーにより行った。等容量の【O^-_2】(〜【10^(-2)】M)とCr(【III】)TPP・Cl(【10^(-4〜)】10`-3M)を混ぜ、直ちに室温でESRを測定すると超微細講造をもたない2本の吸収線 (g=1.956、1.971)が観測された。これら2つの吸収は異なる時間変化で減衰するので、それぞれ異なる分子種によることが示唆される。また、これらの吸収はクロム酸をシュウ酸で還元した時に観測されるCr(【V】)中間体のスペクトルに極めて類似していることから、それぞれの吸収は異なる分子種のCr(【V】)中間体と帰属される。このESRスペクトルは時間変化し、30分後には完全に消失した。それに代って新たにg=1.981に中心を持つ分離のよい9本線のシグナルが観測された。常磁性のCr(【III】)あるいはCr(【V】)錯体がラジカルである【O^-_2】と相互作用すればESRスペクトルは観測されない。また、ESRパラメータはCr(【III】)あるいはCr(【V】)錯体のものとは異なっていた。Cr(【II】)ポルフィリン錯体は空気中では極めて不安定で、高酸化状態に酸化される。また、ESRシグナルを与える浴液の可視スペクトルはCr(【IV】)錯体のスペクトルに類似していた。これらの結果から、新しく観測されたラジカル種はCr(【IV】)(TPP)(Cl)(【O^-_2】)と帰属された。即ち、ESRスペクトルは核スピンを持たないCr核(【^(50)Cr】【^(52)Cr】および【^(54)Cr】)を介した【O^-_2】と4個の等価な窒素核(【^(14)N】I=1)との相互作用による超微細構造として9本線を示したものと考えられる。また、Cr(【IV】)(TPP)(Cl)(【O^-_2】)はいくつかのアミン類を酸化することも明らかにした。
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