研究概要 |
研究目的:動物起源のアスパラギン結合型糖鎖の共通構造は(1)である. 一方高等植物起源のアスパラギン結合型糖鎖の共通酵素は(2)と云えるか. また, 植物糖蛋白質の糖鎖構造解析によって糖鎖の生合成ルートを推定できないか. 研究成果:シカモアカエデ・ラッカーゼ(銅含有酵素)の糖鎖構造6種類を明らかにした. その一番小さな構造は(2)で, 一番大きい構造は(3)であり, 共通構造として(2)が浮き上ってきた. 更に(3)は, 従来, 植物糖蛋白質には無とされていたラクトサミン型であり, 材料を選べば, 従来, 検出されなかった糖鎖合成酵素を検出できる可能性を示した. パイナップル・ブロメラインの糖鎖((2)からManα1→3を欠く)はすでに報告したが, 生合成ルートを推定する必要から, 共存する微量成分の糖鎖を解析したが, (2)は検出できなかった. このことは糖鎖の生合成に二通りのルートが存在することを示している. どの段階でキシロースとフコースが転移されるのかを追求することは興味深い. 単細胞の緑藻, クラミドモナスが産生するカルボニックアンビドラーゼ(亜鉛含有酵素)は(2)の構造に, 更に非還元末端にキシロースが置換されていることを推定した. この構造の解析には有効なキシロシダーゼの入手が必須であり目下精製を進めている. Manαl-6(Manαl-3)Manβl-4GlcNAcβ1-4GlcNAc(1) Manαl-6(Manαl-3)(Xylβl-2)Manβl-4GlcNAcβ1-4(Fucαl-3)GlcNAc(2) Galβ1-4(Fucαl-6)GlcNAcβ1-2Manαl-6〔Galβ1-4(Fucαl-6)GlcNAcβ1-2Manαl-3〕(Xylβl-2)Manβl-4GlcNAcβ1-4(Fucαl-3)GlcNAc(3)
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