研究概要 |
1)単離虹彩平滑筋の電気生理学的をパッチクランプ用を用い検討した. 2)単離した平滑筋は高カリウムあるいはアセチルコリンの適用により収縮した. これらの細胞は約-50mVの静止膜電位を持ち, 脱分極性電流により活動電位は発生せず, 電気緊張電位は外向き整流を示した. 3)膜電位固定下において, 膜電位の脱分極によってみられる電流は外向き電流のみで, 内向き電流は殆ど認められなかった. (正常栄養液中) 4)外向き電流は, 低濃度のテトラエチルアンモニウム(TEA, 1mM)及び, 4-アミノピリジン(4-AP, 2mM)のそれぞれで抑制され, また両薬物の存在下では大部分が抑制された. 5)単一Kチャネル電流を検討した結果, 少なくとも3種類の異なったKチャネルの存在が確認された. その1つは, 細胞内のCa濃度に依存性があり細胞外のTEAによって阻害された. 従って, 外向き電流にはTEAに非常に感受性の高いCa依存性K電流と, 4-APで抑制されるK電流などの成分が, 主要なものとして存在する事が分かった. 6)外向き電流を50mMTEAと5mM4-APで抑制すると20pA以下の内向き電流が確認できた. これは, 外液のCaをBaに置換すると, Ba濃度に比例して増大した. これは低濃度のCaの添加により抑制され, 1mMカドミウムで完全に抑制された. 7)虹彩平滑筋の膜の安定化機構には, 非常に小さい内向き電流と, それと比較して大きな外向き電流が寄与している事が明確となった.
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