研究概要 |
微量修飾ヌクレオシドの生合成機構を探るため, 基質となる未修飾ヌクレオシドを含むtRNA分子を再構成した. 本年度には新方法としてRNaseHを用いる切断法を採用した. 2'-0-メチルリボオリゴヌクレオチドを含むデオキシオリゴマー(5'CmUmUmGmGm-dAdAdGdG-CmUmGmAmGm はグリシンtRNA_1のアンチコードンループを中心とする14ヌクレオチドに相補的である)とダブルストランドを構成したリボ : デオキシ部分をRNaseHで特異的に切断した. 二種類のキメラオリゴマーを用いてアンチコードン1字目の5-carboxymethy1aminomethy1uridineの前後のヌクレオチドで切断した5'側半分子, 3'側半分子を数種類ずつ単離した. 他にグリシンtRNA_2トレオニンtRNAなどからRNase類を利用して得た半分子tRNAを用い, アンチコードン部分を1〜3ヌクレオチド入れ換えた全tRNA分子を再構成した. 5'側半分子に[^<32>p]_pU_pや[^<32>p]_pUA, [^<32>p]_pCAまたはそれらの無標識のオリゴヌクレオチドをRNAリガーゼにより連結し, 末端りん酸を脱離した後, 3'側半分子をアニーリングさせた. さらにRNAリガーゼにより両半分子を結合させた. 調製した再構成tRNAにはグリシンtRNA(UCC), グリシンtRNA(UAC), トレオニンtRNA(UAC), 5'-グリシンtRNA_1-UAC-3'グリシンtRNA_2のようにすべてアンチコードン1字目に未修飾ウリジンを保有する. それらのウリジンに隣接するりん酸を[^<32>p]で標識した分子については, 枯草菌S-100, S-30画分を酵素成分として修飾反応を試みた. 修飾の有無を薄層クロマトグラフィー上での変化の有無で検討した. しかしながら, どのような組合せでも修飾を受けた徴候を検出できなかった. アイソトープレベルでの基質tRNAの濃度では不充分と思われる. 一方SAMを基質とすることがわかっている5-methoyuridineへの^<14>Cメチルの取込みは配列に応じて検出した.
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