研究概要 |
Tryptamineは中枢神経系に存在するインドールアミンの一つであるが、同類のセロトニンと比較して同物質の含量の僅少性から(トレースアミン)、その神経機能における生理的意義に関しては不明瞭である。しかし乍、同物質を媒体とするニューロン系の存在は実証されて居り、従って同受容体の存在も示唆されよう。事実、1983年以降radio receptor-結合実験法により高親和性〔【^3H】〕tryptamine結合部位(Kd=3×【10^(-9)】M)が中枢神経系に存在する事が判明しつつある。従って、同受容体としての神経化学的な探索はその端緒についた状況である。すでに著者らは、ラット中枢組織での温度-感受性高親和性tryptamine結合部位(Kd=4×【10^(-10)】H)の存在を実証しているが、本研究では上記高親和性〔【^3H】〕tryptamine結合部位の生理的意義について(すなわち、受容体としての)、分子構築機構及びpharmaco-kineticsの両面から検討する事を目的とした。以下に本研究にて得られた結果をまとめると:1.ラット中枢組織での温度-感受性高親和性〔【^3H】〕tryptamine結合部位の存在及び同現象が完全に生理的温度にのみ依存する一種のアロステリック変換である事を、cross-linker(膜受容体蛋白質のmatrix部位を特異的に固定する)としてのglutaraldehydeが同現象を特異的に抑制する事実から実証した。(発表論文(1),(2))2.セロトニン受容体(【S_1】)と同様に本高親和性結合部位においても特定の酸性脂質群(phosphatidyl serine,Sulphatides)がその分子構築に関与している事を、各種脂質修飾試薬(AzureA,phospholipases【A^2】D)を用いて明らかにした。(発表論文(3)) Tryptamineニューロンの種々のagouists,autagonists,神経毒によるpharmaco-kiueticsからの研究は目下検討中である。昭和62年度からは同結合部位の受容体としてのより直接的な探索法として、細胞内情報伝達系とのcouplingの前能性を検討したい。
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