研究課題/領域番号 |
61571063
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
永沼 章 北里大, 薬学部, 助教授 (80155952)
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研究分担者 |
錦戸 典子 北里大学, 薬学部, 助手 (10172644)
小山 祐子 北里大学, 薬学部, 助手 (60162088)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | カルシウム / メタロチオネイン / マウス / ラット初代培養肝細胞 |
研究概要 |
多くの重要な細胞機能が細胞内カルシウム濃度の可逆的な変動によって調節されていることが明らかにされつつあり、カルシウムの生理作用とその発現機構に多くの研究者の興味が集中している。本研究代表者は最近、カルシウムの投与によりマウス肝臓中にカルシウムを含まず比較的多量の亜鉛を含有する低分子量蛋白質が増加することを見出し、この蛋白質が重金属結合蛋白質として知られるメタロチオネイン(MT)であることを明らかにした。そこで本研究では細胞内カルシウム濃度とMTとの関係について検討した。 肝臓中のMT合成を誘導する塩化亜鉛を様々な投与量(0〜150μmol/kg)で、【^(45)Ca】【Cl_2】(175nmol/kg)と共にマウスに投与したところ、12時間後の肝臓中MTおよび亜鉛濃度は亜鉛の投与量に依存して増加し、多く蓄積するようになった亜鉛のほとんどがMTに結合していた。また、この時投与1時間後の肝臓中【^(45)Ca】濃度も亜鉛の投与量に依存した増加を示した。そこで亜鉛とは異なる機構で肝臓中MTを誘導すると考えられるデキサメタゾンを【^(45)Ca】【Cl_2】と共に投与したところ12時間後の肝臓中MTおよび亜鉛濃度の上昇は観察されたが、1時間後の肝臓中【^(45)Ca】濃度の増加は認められなかった。これらの結果から、亜鉛によるMTの合成誘導にCaの細胞内流入が関与している可能性が考えられたのでラット初代培養肝細胞を用いて細胞内カルシウム濃度とMTとの関係を検討した。その結果、培地中に亜鉛を添加して22時間培養することによって細胞内MT濃度は有意に増加したが、亜鉛添加2時間後の【^(45)Ca】の細胞内取り込み量は培地亜鉛濃度の影響をほとんど受けなかった。また培地中にカルシウムを比較的高濃度に添加したところ、細胞内カルシウム濃度の増加は観察されたものの、細胞内MT濃度は有意な変動を示さなかった。これらの結果から、カルシウムによるMTの誘導は動物体内でのみ起こる現象と考えられる。
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