研究課題/領域番号 |
61571071
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
大屋敷 孝雄 北陸大, 薬学部, 助教授 (00100488)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 脂質過酸化反応 / 過酸化脂質 / 脂質過酸化と膜傷害 / 生体膜動的構造 / 小腸刷子縁膜 / 小腸刷子縁膜の脂質過酸化 |
研究概要 |
過酸化脂質の細胞毒性発現機構を生体膜レベルで明らかにするため、小腸刷子縁膜の動的構造に対する脂質過酸化の影響を蛍光ラベル法及び膜結合酵素の活性測定により解析した。(1)脂質過酸化による脂質流動性の著しい低下が脂溶性蛍光試薬pyrene及び蛍光性脂肪酸誘導体の回転緩和時間の増加(蛍光偏光度,光学異方性の測定)及び消光剤接近性の低下(蛍光消光法)から明らかにされた。また、この脂質流動性の低下は膜表層部において著しく、その程度は脂質過酸化度に依存していることが明らかにされた。更にリポソームを用いたモデル実験から脂質過酸化の受け易さは脂質分子の配列度(ordering)と密接に関係していることがわかった(第59回日本生化学会、1986)。α-トコフェロールの抗酸化作用が脂質流動性の低化と密接に関係していることは、このことを支持していると思われる(日本薬学会107年会発表予定、1987)。(2)蛍光性マレイミド試薬と膜タンパクSH基の反応性の解析から、SH基近傍構造のrigidityの増加が示され、しかもこの膜タンパク構造の変化には脂質過酸化反応の生成物であるマロンアルデヒドの関与していることが示唆された(第59回日本生化学会、1986)。(3)脂質過酸化に依存した膜タンパク構造の変化は膜結合酵素である【Ca^(2+)】-ATPase及び【Mg^(2+)】-ATpaseの活性低下からも明らかにされた。これらATPase活性の動力学的解析の結果、この活性低下は脂質過酸化による基質結合部位のrigidity低下に基づく基質親和性の低下が原因であることがわかった。以上のことから、脂質過酸化に伴われた膜傷害が小腸刷子縁膜の動的構造に対する影響から明らかにされた。現在、この膜構造変化が膜機能にどのような影響を及ぼすのかにつき、膜会合性及び【Ca^(2+)】輸送機能との関係で調らべている。予備実験の段階ではあるが、これら膜機能は脂質過酸化に応じて低下することがわかり、更にこれら膜機能変化と膜構造変化の相関性について解析している。
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