研究分担者 |
藤代 成一 千葉大学, 医学部付属病院, 薬剤師
中村 裕義 千葉大学, 医学部付属病院, 薬剤師
小林 悟 千葉大学, 医学部付属病院, 薬剤師
力久 忠昭 千葉大学, 医学部, 助教授 (70012622)
FUJISHIRO Seiichi Chiba University, Hospital Pharmacy, Pharmacist
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研究概要 |
EPAの疫学調査の一環として,富山県氷見市の沿岸部住民23名と山村部住民21名を対象に種々の調査を行ったところ, 両者間で赤血球変形能, 赤血球膜リン脂質中の脂肪酸構成比及び赤血球膜浸透圧抵抗において有意差を認めたが, 千葉県での調査ほど顕著ではなかった. 重回帰分析の結果, EPAは赤血球膜中で他の脂肪酸と相互に影響しあい, 赤血球膜流動性の増加と赤血球膜浸透圧抵抗の強化に関与し, 膜を安定化していると推測された. つぎに赤血球膜中のEPAの流動性を推測するために, in vitroで脂肪酸エステルの粘度を測定した. 対象にはEPA, ミリスチン酸, パルミチン酸, パルミトール酸, オレイン酸,リノール酸, リノレン酸, エイコサトリエン酸, アラキドン酸, ドコサヘキサエン酸のエチルエステルを選び, 20〜37°で粘度を測定し, Andradeの関係式からみかけの活性化エネルギーを求めた. いずれの温度でもEPAエチルエステルの粘度が最も低く, また活性化エネルギーも最も小さく, 膜でのEPA含量増加は膜の流動性増大の要因となり得ることが示唆された. 赤血球が微小血管内を通過する際, 赤血球変形能は血液の流動性に影響を与える因子の1つであるが, 赤血球変形能については未知のことが多い. そこで, 赤血球が変形するときどの程度ATPが消費されるか, EPAにより影響を受けるかを知るために基礎的実験を開始した. 赤血球を生理食塩液に浮遊させ, E型回転粘度計でshear stressを負荷して生理食塩液中のADP増加量を測定した. ADPの測定はHolmsenらの血小板中ADP測定法を適用した. その結果ずり速度が大きい程ADP放出量は増大するが, stressの負荷時間が3〜5分で一定となることがわかった. 健常人の赤血球では高齢の方がADP放出量が多い傾向が認められたが, 今後EPAの影響も含めて更に検討する予定である.
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