研究概要 |
新しいヒトHLAクラスI遺伝子のクローニングをするために, (1)マウスのQ4遺伝子特異的な190bpのDNAをプローブとして, あるいは(2)HLA-B7CDNAをプローブとして, ヒトのジェノミックライブラリーからクローニングを試みた. (1)の方法で得られたクローンからは, その発現をマウスL細胞に遺伝子移入した場合は確認できなかった. 一方, (2)の方法で得られたクローンをマウスL細胞に遺伝子移入して, 抗HLAクラスI単クローン抗体を使ってその発現を調べたところ, ヒトのhomozygote cell line LKT-2(HLAA2/2, B51/51, C-/-)からA2およびB51以外に1種類のクラスI遺伝子を, また正常人末梢血(A11/24, Bw52/52, Cw7/-)より作成したライブラリーより, A11, A24, Bw52, Cw7以外に2種類の遺伝子をクローニングすることができた. 以上の3種類の遺伝子のうち2種類は, EchRI fragmentが7.6kbと大きく, またW6/32抗HLAクラスI抗体のbindingが弱く, C-locusに属するHLA抗原遺伝子と考えられ, C-blank遺伝子の可能性が示唆された. 一方他のもう1つの遺伝子はHLA-A, B, C以外の遺伝子と考えられた. C-blank遺伝子の1つであるLKT-2-21のシークエンス解析をおこなったところ, そのcoding regionのアミノ酸配列はきわめてCw1と類似しており, わずかにα_1ドメインで3つ, α_2ドメインで2つのアミノ酸配列の置換がみられた. これらの5つの置換はすべてβシート上にあり, このことはβシートでの変化が, クラスI抗原の三次構造上のconformatialな変化をおこしていることを示唆している. しかし, この抗原特異的血清がみつからない理由は不明である. 現在, 他のC-blank遺伝子およびHLA-A, B, C以外の遺伝子のシークエンス解析をおこなっている.
|